漱石山房記念館では、毎年度4回の展示会を実施しています。
展示会を行うにあたっては、主担当となる学芸員が展示内容を計画し、
調査・研究を重ねながら準備を進めていきます。
そのほか、チラシやポスターの制作、資料の借用、搬送手続きなど、やるべきことは多岐にわたります。
そして最終的には、展示室に資料やパネルを並べ、展示会をスタートさせます。
展示準備は、まず既に展示されている資料を片付け、パネルなどを剥がし、
展示ケースをすべて空にするところから始まります。
壁面に備え付けられた展示ケースは、脚立に上って上部と下部の鍵を解除する必要があり、
開閉には2人以上が必要です。
続いて、大きなパネルから順に展示ケースに立て掛けて位置の目安を付けます。


配置が決まったら、レーザーの墨出しを使って高さを調整し、釘で固定していきます。
釘の打ち方にもそれぞれこだわりがあり、パネルの端に対して真っすぐ打つ人もいれば、
釘が目立たないよう斜めに打つ人もいます。私は後者の方法で打っています。
展示をご覧になる際は、パネルの釘にもぜひ注目してみてください。
ただし、最も大切なのはパネルや資料の配置による「見やすさ」です。
互いに意見を交わしながら、注意深く作業を進めていきます。
大きな展示ケースには、資料を見やすくするために斜台を入れます。
文字通り斜めになっている台のため、しゃがんだり立ったりと足腰を使う作業になります。
そして、最後に照明の調整を行います。展示資料の保護のため、強い光は禁物です。
特に万年筆のインクなどは光に弱く、色が飛んでしまうため光量の調節が重要です。
また、パネルが読みやすいよう、来館者の影が展示ケースに極力入らないように考えながら設定します。
学芸員の仕事といえば、机に向かって黙々と調べごとをしているイメージが強いかもしれませんが、
実際には体を使う力仕事も少なくありません。
博物館や文学館などを訪れる際は、展示資料だけでなく、どんなケースや台が使われ、
どのような展示が行われているのかにもぜひご注目ください。
各館の学芸員のこだわりが見えてくるはずです。
(学芸員 嘉山澄)
