検討会では、「漱石山房再現の道①②」でご紹介した調査結果を踏まえて議論を重ね、未来に正しいものを継承していくという観点から、資料的裏付けのある書斎・客間・回廊を記念館内に再現することになりました。
再現にあたっては、早稲田大学建築史研究室に委託し、県立神奈川近代文学館・東北大学附属図書館等の協力を得て、写真解析や明治・大正期の同等の家屋の現存例との比較検討等を行い、再現図を製作しました。
こうして検討が進められた再現山房は、美術製作会社の工場で製作が進められ、平成29年2月3日には仮組立てを行い、研究者の指導により再現精度や部材加工について検証と確認を行いました。3月には一度解体して記念館建設現場に搬送し、組立てとエイジング処理(明治40年に漱石が入居した時点、築10年程度の古色を着けます。)を行っています。
作家の書斎の再現はこれまでも数多く行われてきましたが、家屋の一部を再現する試みはあまり例を見ません。作家として、弟子を迎える師として、また家庭人としての漱石を想像しながら、完成した漱石山房再現をご覧いただければと思います。
▲(左)再現山房仮組立ての様子、(右)外壁サンプルの検討(平成29年2月3日) |
テーマ:その他 2017年4月20日