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吾輩ブログ 一覧

  • 虞美人草の花が咲いています

    漱石が朝日新聞社に入社後、初めて紙上で連載された作品「虞美人草」。
    (明治40年(1907)6月23日から10月29日まで朝日新聞に連載されました)

    漱石山房記念館の裏手(漱石公園側)には花壇があり、漱石の記述や作品に由来する植物が植えられています。

    最近、虞美人草(ヒナゲシの別名)の花が咲き始めました。

    漱石はこの植物の名を小説の題名にした理由について、以下のように書いています。

    昨夜豊隆子と森川町を散歩して草花を二鉢買つた。植木屋に何と云ふ花かと聞いて見たら虞美人草だと云ふ。折柄(おりから)小説の題に窮して、予告の時期に後れるのを気の毒に思つて居つたので、好加減(いいかげん)ながら、つい花の名を拝借して巻頭に冠(かぶ)らす事にした。
     純白と深紅(しんく)と濃き紫のかたまりが逝(ゆ)く春の宵の灯影(ほかげ)に、幾重の花弁(はなびら)を皺苦茶(しわくちゃ)に畳んで、乱れながらに、鋸(のこぎり)を欺(あざむ)く粗き葉の尽くる頭(かしら)に、重きに過ぐる朶々(だだ)の冠を擡(もた)ぐる風情は、艶(えん)とは云へ、一種、妖冶(ようや)な感じがある。余の小説が此花と同じ趣を具(そな)ふるかは、作り上げて見なければ余と雖(いえど)も判じがたい。
     社では予告が必要だと云ふ。予告には題が必要である。題には虞美人草が必要で―はないかも知れぬが、一寸(ちょっと)重宝であった。聊(いささ)か虞美人草の由来を述べて、虞美人草の製作に取りかゝる。
    (明治40年5月28日 東京朝日新聞 「虞美人草」予告)

     

     

     

     

     

    漱石が小説の題名に選び、“艶とはいえ、一種妖冶(=なまめかしく美しいこと。妖艶。)な感じ
    ”と表現したこの花、是非実物を見にいらしてください!

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  • バショウ成長中!

    夏目漱石が暮らした「漱石山房」を象徴する植物といえば、芭蕉(バショウ)が代表的です。

    大正5年12月の「漱石山房」
    前庭に大きな芭蕉があり、周りには一面の木賊(トクサ)が。

     

    漱石自身が描いたり、芥川龍之介などの門下生も「漱石山房」の芭蕉の様子を書き残しています。
    中国原産といわれる芭蕉は、高さ2~3mで大きな葉が特徴。
    英名では「ジャパニーズ・バナナ」と言うように、バナナの仲間です。
    俳人・松尾芭蕉の俳号も、この植物からとったそうですよ。

     

    「漱石山房」の植木は、みな漱石の手により入れられたもので、芭蕉もそのひとつでした。
    漱石は日記でしばしば庭の芭蕉について触れています。

    当館の芭蕉も、漱石が植栽した位置にあわせて、玄関横・客間前の前庭に植えています(・・・残念ながら、漱石が植えた芭蕉ではありません)。
    剪定のため根もとから切り落としたのですが、暖かくなってきて、いっきに成長しています。

    3月25日、切り落とした根もとから新しい芭蕉の姿が・・・!

     


    3月29日、お日様をたっぷり浴びて大きくなります。

     

    4月7日、「芭蕉伸びる事三尺」漱石がこう日記で触れているように、ぐんぐん大きくなっています。

     

    これから初夏にむけて、大きな葉を繁らせてくれるのが楽しみです!

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