漱石山房記念館の公園側の花壇で
紫陽花(あじさい)が咲き始めました。
当館の紫陽花は毎年青を中心とした花を咲かせます。
青い紫陽花は、土壌が酸性のためだそうです。
漱石の日記から紫陽花に関する記述を抜き出してみましょう。
明治43(1910)年6月26日「階下に紫陽花咲く。」
明治44(1911)年6月5日「暑昨日と同じ北側の縁に出て、
籐椅子に寝てノイエ ルンドシヤウ(ドイツの文芸雑誌『ノイエ・ルントシャウ』)を見る。
地面が湿つて滑かで実に好い気持ちで英国などでは千金を出してもこんな色と肌色の地面は手に入らない。
(中略)紫陽花は透る様な葉を日に照らしてゐる。」
当時も建物の北側に紫陽花が植えられていたことがわかります。
漱石は紫陽花の絵も描いています。
大正2(1913)年7月25日には津田青楓に紫陽花の絵を一枚描いたことを伝えています。
『漱石遺墨 第二』には紫陽花の絵がありますが、紫色の花ですね。
アルカリ性の土壌だったためか、少し青と赤が混ざった感じです。
なかなか味のある絵ですね(笑)。
大正4(1915)年7月2日の書簡には
「紫陽花の咲いてゐる裏庭を子供が自転車で廻つてゐます、其子供スツパダカです、東京も中々暑いのです、」
と近況報告しています。
私事に渡りますが、毎年母の日には、田舎の母親に紫陽花を送っています。
私が子供の頃、父が紫陽花が好きだと言っていた記憶があるためです。
父と母は紫陽花を受け取ると、しばらく室内に飾り、庭に植え替えているようです。
もうすぐ東京も梅雨入りし、紫陽花も満開になるでしょう。
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紫陽花が咲き始めました
テーマ:漱石について 2024年5月24日