漱石山房記念館2階資料展示室では令和6年7月7日(日)まで、
《通常展》テーマ展示『門』-夏目漱石の参禅-を開催しています。
展示は3章立てで構成しています。
第3章「若き雲水との交流」のコーナーには、
大正3(1914)年から文通をはじめ、自宅に泊めるまで親しくなった
神戸の20代の二人の雲水(修行僧)に宛てた漱石の手紙を展示しています。
この時の雲水の一人・富沢敬道(珪堂)は、後に、
漱石が明治27(1894)年に円覚寺に参禅した際に止宿した円覚寺塔頭・帰源院の
住職になり、敬道宛の漱石の手紙が帰源院に伝わっています。
今回の展示では、帰源院からそのうちの4通をお借りしています。
展示替え後の現在は
富沢敬道宛漱石書簡、4通全てをご覧いただけます。
「私は五十になつて始[初]めて道に志ざす事に気のついた愚物です」
と告白する大正5(1916)年11月15日付の漱石の書簡は、
展示替え前は一部分しかご覧いただけませんでしたが、
現在は広げて展示していますので、
巻紙に筆で書かれた2メートル以上もの手紙全文を
お読みいただけます。
「啓饅頭を沢山ありがたう。
みんなで食べました。
いやまだ残つてゐます。
是からみんなで平げます。」
からはじまり、俳句、漢詩、自身の修業についてと続くこの長い手紙は
徒然なるままに流れるように書かれており、
心を許した二人の関係が読み取れます。
漱石の心の動きを感じ取ることができるこれらの書簡は、
ほとんど公開されることがなく、
実物を確認できる貴重な機会です。
展示会期は7月7日(日)までです。
ぜひ会場にお越しください。
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《通常展》テーマ展示 『門』―夏目漱石の参禅―のみどころ
テーマ:漱石について 2024年6月20日