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テーマ展示「漱石のミチクサー『道草』草稿を中心にー」みどころ 前編

当館所蔵品の目玉である『道草』草稿をテーマにした展覧会
(会期:令和4年4月14日(木)~7月3日(日))が開幕しました!
まずはじめに、「草稿」とは、新聞社に入稿されずに書き潰しとなった原稿です。
漱石の推敲過程を知る上で貴重な資料です。
大正4(1915)年に書かれた『道草』の草稿は、
全国の図書館や文学館などに分かれて、現在245枚の現存が確認されています。
当館は朝日新聞全102回の連載のうちの12回分、70枚弱を所蔵しています。
今回はできるだけ多くの草稿を皆さんにごらんいただきたく、
狭い会場ではありますが、53枚の草稿を展示しています。
直筆の資料を保護するために、前期(5月22日まで)・後期(5月24日から)で
実物と複製(レプリカ)を展示替えし、
会期を通じて直筆の草稿53枚をご覧いただけます。
展示会場は2章で構成しています。
「第1章 あらすじと登場人物」では
「道草」が漱石の実体験に基づいた小説であることを確認するため、
漱石の家系図に道草登場人物をなぞらえたパネルを展示しています。

道草の主人公・健三は、兄や、姉の夫の比田と協力して、
金銭を要求してくる離縁した養父・島田との交際を断つことに成功します。
これと似たことは、実際に漱石の身の上にもおこっています。
物語の中の兄の若い妻の話などが実体験に基づいていることは、
このパネルの漱石の家族の年齢をご覧いただくとよくわかるかと思います。
このコーナーには作品のモデルとなった
漱石の生家への復籍に係わる書類の写真も展示しています。
『道草』は家族の「片付かない」物語でもありますが、
漱石の生い立ちや複雑な家系図は、その物語を読み解くヒントになるでしょう。
(「テーマ展示「漱石のミチクサー『道草』草稿を中心にー」みどころ 後編」へ続く)

テーマ:漱石について    2022年4月26日
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