展覧会の見どころ・後編は、「第2章 草稿を読む」のコーナーをご紹介します。
ここからは朝日新聞に掲載された文章と、
当館所蔵の「草稿」の文章を比較して見ていきます。
展示するのは、健三・御住(おすみ)夫婦の関係にかかわる新聞掲載回第19回、第23回、
姉の夫・比田にかかわる第27回、28回、兄・長太郎にかかわる第36回、37回などの草稿です。
書き直しの跡がよくわかる第27回の部分を見てみますと、
冒頭の部分が数行書いては5回も原稿用紙を変えて書き換えられて、
はじめに原稿1枚目に書かれていた比田と兄・長太郎の会話の部分は、
定稿(新聞社に入稿された完成原稿)では2枚目のはじめに移り、
1枚目に比田の軽薄さがわかる文章がまとめられたことがわかります。
道草の草稿は、読みやすく文字におこした翻刻が岩波書店の
『定本 漱石全集 第26巻』に掲載されているので、
現存する草稿すべてを読むことができるのですが、
原稿用紙の上のインクの染みや英語の書き込みは、
実物にあたらないとわかりません。
草稿を読んでいくと、
枚数を重ねるごとに研ぎ澄まされていく文章はスリリングでワクワクします。
書き渋った箇所には漱石のこころの揺れを感じ、
文豪・漱石を身近に感じられます。
展覧会は7月3日(日)までです。
大正4(1915)年に『道草』の草稿が書かれた地に建つ、
漱石山房記念館の展示会場で、漱石の息吹を感じてください。
皆様のご来館をお待ちしております。
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テーマ展示「漱石のミチクサー『道草』草稿を中心にー」みどころ 後編
テーマ:漱石について 2022年4月28日