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お庭のザクロが実ってきました

漱石山房記念館の前庭には、漱石の作品にちなんだ植物が植えられています。
初夏の今時期は、ザクロの鮮やかな赤い花が受粉を終えて、
果実に成長するかわいらしい姿を見ることができます。

ザクロは、漱石作品『それから』の中で、
主人公・代助の気分を表す場面に登場します。
「柘榴(ざくろ)の花は、薔薇よりも派手にかつ重苦しく見えた。
緑の間にちらりちらりと光って見える位、強い色を出していた。
従ってこれも代助の今の気分には相応(うつ)らなかった。」

(夏目漱石『それから』岩波文庫、138頁)
暗調を帯びた気分の代助に、ザクロの花は、
「余りに明る過(すぎ)るもの」、堪えがたいものと映ります。
確かに、ザクロの花は濃い緑の葉の中で、
小さいながらも力強く明るく咲いているように見えます。
漱石山房記念館にお越しの際は、ぜひお庭の植物にも注目してみてください。
小説の世界が広がります。

テーマ:漱石について    2022年6月27日
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