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絵本で読む「草枕」 後編

漱石山房記念館ミュージアムショップで扱う書籍の中に、
『絵本 草枕~KUSAMAKURA~』(以下、『絵本 草枕』)という1冊があります。
《通常展》テーマ展示 夏目漱石「草枕」の世界へ―絵本・絵巻・挿絵にみる「草枕」-
(会期:令和4年7月7日(木)~10月2日(日))では、この本の原画も展示されます。
『絵本 草枕』を発行するHalf wayの小須田祐二さんにお話を伺いました。

前編から続く)
―小須田さんは「草枕」の舞台である熊本県玉名市にも足を運んでいらっしゃるそうですね。
(小須田)最初は2016年2月に、「草枕」を絵本化するプロジェクトを始めるにあたって
物語の舞台を訪問してみようと思い、「草枕交流館」へ向かいました。
熊本市からバスで行ったのですが、そこで夏目漱石が旅した道が「草枕の道」として現在も歩けることを知り、
それなら歩いてみようと思って2時間くらいかけて歩きました。
峠を越えると、目の前に有明海が広がって、海の先にそびえる雲仙岳が見えました。
小天温泉の方へ峠を下る途中には一面の蜜柑畑があり、漱石が滞在した「前田家別邸」に続きます。
「草枕」の舞台になった美しい風景を体感して「漱石にとっても桃源郷みたいな場所だったのかな」と思いました。
それ以来、玉名市を何度も訪問し、「前田家別邸」に隣接する旅館「那古井館」にも宿泊するなど、親しんでいます。

小天温泉の蜜柑畑から雲仙岳を臨む
(撮影:小須田祐二)

―『絵本 草枕』は電子書籍にもなっていますが、そのBGMも「草枕の道」にゆかりがあるそうですね。
(小須田)『絵本 草枕』の電子書籍は現在、アプリから無料でご覧いただけます。
※電子書籍の詳細はこちらをクリック
語りは熊本出身で元アナウンサーのKINUKOさん、
音楽はNHK「ラジオ深夜便」にも出演する音楽家の守時タツミさんです。
守時さんの音楽には小鳥の声や雨の音が入っていますが、
それらは守時さんが「草枕の道」を実際に歩いて収録した音です。

「草枕の道」峠の茶屋にて 小須田祐二さん

―最後に、7月7日からの「夏目漱石「草枕」の世界へ―絵本・絵巻・挿絵にみる「草枕」―」展に向けて、
小須田さんからメッセージをいただければと思います。
(小須田)私の手元にある新潮文庫の『草枕』は、本文が約170ページに対して、注釈が約30ページもついています。
それだけ「草枕」には漱石の教養・知的背景が詰まっている、深みのある作品だということなのではないでしょうか。
現代の私たちが読むには少しハードルの高い気もする「草枕」ですが、
今回の展示は親しみやすいものになるのではと期待しています。
また、漱石作品で「坊っちゃん」の舞台が「愛媛・松山の道後温泉」というのはよく知られていますが、
それに比べて「草枕」の舞台が「熊本・玉名の小天温泉」というのはピンとこない方が多いような気がします。
今回の展示を通して「草枕」の舞台についても知っていただければ嬉しいです。

テーマ:漱石について    2022年7月3日
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