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「松岡譲の漱石研究-岳父への想い-」見どころ紹介
令和3年6月27日(日)まで開催の
《通常展》テーマ展示「松岡譲の漱石研究-岳父への想い-」の見どころを紹介します。展示の詳細はこちらをクリック
今回ご紹介するのは、松岡譲筆録・夏目鏡子述の単行本『漱石の思ひ出』です。漱石没後、鏡子未亡人が語る家庭における漱石の姿を松岡譲が筆録したものです。
ご覧になったことがあるかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか。
鏡子未亡人の率直な語り口で綴られた本作は、
漱石の実像が分かる資料として今も高い評価を受けています。
松岡本人も、本書の刊行を
「義母に対して最高の孝行をしたと信じて疑わない」
(昭和43年9月26日付松岡譲個人宛書簡、2階資料展示室にて展示中)
と後年回想しており、
自信をもって出版したことが伺えます。
本書は、雑誌『改造』に13か月にわたって連載された後、
加筆・訂正され昭和3(1928)年に出版されました。
その後、岩波書店、菊桜書院などからも出版されています。
本の構成は、松岡の意図により出版社ごとに異なっています。
岩波書店から昭和4年に刊行された際は、改造社版にはない、
松岡の手により編まれた漱石の年譜が付け加えられています。当館の図書室では、展示室に展示している本と同様の、
昭和3年に改造社から刊行された『漱石の思ひ出』と
昭和4年に岩波書店から刊行された『漱石の思ひ出』を配架しております。
ご興味ある方は、当館が開館しましたら読み比べのためにぜひご来館ください。
お待ちしております。
※緊急事態宣言の発出を受け、
漱石山房記念館は4月25日(日)から5月31日(月)までの間、臨時休館します。テーマ:漱石について 2021年4月30日 -
≪通常展≫テーマ展示「松岡譲の漱石研究‐岳父への想い‐」開幕しました
漱石山房記念館に隣接する漱石公園の桜の花びらが舞い散る中、
≪通常展≫テーマ展示「松岡譲の漱石研究-岳父への想い-」が開幕しました。松岡譲は、『漱石の印税帖』や『ああ漱石山房』など、
夏目漱石に関する数多くの著作で親しまれている作家です。
漱石とのはじめての出会いは大正4(1915)年、
漱石山房で開かれていた文学サロン「木曜会」の時で、
漱石と松岡の交流は約1年という短いものでしたが、
漱石はその後の松岡の作家活動に大きな影響を与えました。
生涯を通じて漱石研究に没頭した松岡が、岳父・漱石について記した文章をとおして、
松岡からみた漱石像に迫ります。今回は平成29(2017)年に松岡の娘で漱石の孫にあたる半藤末利子氏から寄贈された
「松岡・半藤家資料」を中心に展示しています。
松岡譲『漱石先生』(岩波書店 昭和9年)に収録された「猫の墓」の原稿は、
今回初めてお披露目する松岡譲の直筆資料です。
その横には夏目漱石が門下生で俳人の松根東洋城に宛てた、
「吾輩は猫である」のモデルとなった猫の死亡を知らせたはがきを展示しています。「猫の墓」とはこの猫の十三回忌にあたる大正9(1920)年に、
夏目家で飼われた生き物たちを供養するため、
漱石の長女・筆子の夫・松岡譲が造らせたものです。(注1)
なお、このはがきは5月7日(金)以降はレプリカを展示予定ですので、
実物をご覧になりたい方は5月5日(水)までにお越しください。また、新収蔵品のコーナーには、
令和2年度に新しく収蔵した松岡譲≪漱石山房図≫(昭和18(1943)年 紙本着色)をはじめ、
夏目家旧蔵の着物や、漱石が使用していた硯など、漱石ゆかりの資料を初公開しています。漱石公園の桜はそろそろ葉桜になりそうですが、新緑が美しい季節になりました。
お散歩がてらぜひご来館ください。(注1)現在、漱石山房記念館に隣接する漱石公園にある猫の墓(猫塚)は、
昭和20(1945)年の空襲で損壊した残欠を再興したものです。テーマ:お知らせ 2021年4月2日